「トノバン」の愛称で親しまれ、数多くの名曲を生み出したミュージシャン、故加藤和彦。親しかった人々の証言を基に、1960年代から70年代を中心に音楽家としての足跡を追ったドキュメンタリー。
65年、きたやまおさむらとザ・フォーク・クルセダーズを結成。楽曲「帰って来たヨッパライ」がラジオを中心に人気を呼び、メジャーデビュー。「イムジン河」「悲しくてやりきれない」などを制作。解散後はソロ活動の他、きたやまと「あの素晴しい愛をもう一度」を発表する。
当時の妻をボーカルに迎え、70年代に活動したサディステック・ミカ・バンドには故高橋幸宏や高中正義が参加し、海外で高い評価を得る。作曲家や編曲家としても腕を振るい、竹内まりや「不思議なピーチパイ」、吉田拓郎「結婚しようよ」、泉谷しげる「春夏秋冬」などの誕生にも関わる。
日本に活気のあった昭和中、後期にコミカルな楽曲からロック、ボサノバ、レゲエ、タンゴと幅広いジャンルのナンバーを生み出していった希代の音楽家。映画ではミュージシャンだけでなく、ファッションデザイナーのコシノジュンコや世界的フレンチシェフの三国清三も登場して思い出を語る。
類いまれなる独創性の根源には何があったのか。垣間見ることができて、興味深い一本。
シネマ5で29日(土)~7月5日(金)の午後2時55分。29、1、4日は同8時からも上映。28日までサウンドトラックCDやパンフレットとセットにした鑑賞券(60歳以上対象)も販売。
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「大分合同新聞ムービーアワー」は厳選した映画をお届けするプロジェクト。テーマや話題性を吟味した作品を週替わりで上映します。