学習アドバイスのコーナーは、Q&A方式でお届けします。大学受験生向けは、英進館天神本館高等部本部(福岡市)の神田岳彦講師が、受験生や保護者の質問に答えます。
Q.親子の会話が弾みません。進路について話をしたいのに、子どもは口数が少なめ。どうやって会話を進めていくといいですか。
A.基本的に子どもは、本人が理想とする自分の姿に届いていません。大人はまず、それを許してあげることが大切です。
大人だって「仕事をこう進めたい」と思っても、なかなか計画通りにいきません。子どものことも「うまくできないのは分かっているよ」と許してあげましょう。そして「何とか今の状況を改善したい」と考え、もがいているということを信じてあげましょう。
この段階では会話をするというよりも、「何でこうしたの?」などと、子どもの考えを聞くように心がけてください。
例えば子どもが、朝の忙しい時間に、保護者が確認して提出しなければいけないプリントを出したとします。「昨日、学校から帰ってすぐ出せばよかったのに!」とイラッとしても、「何で?」と聞いてみてください。
単に「忘れていた」と答えるかもしれないし、「親にあまり見てほしくない内容だから、ギリギリに出せば、グチグチ言われる時間が短くなると思って…」と言うかもしれません。
それについて「いい」「悪い」と言うのではなく、「そうなの」と受け止めることが大切です。
口数が少なく、聞いても答えてくれない場合は、「昨日の夜に出してくれたら助かった」「私も仕事に出かける準備があるから、今出されて困っている」と事実を伝えます。このような会話を繰り返していると、子どもは「親は自分のことを気にかけてくれている」「ちょっと迷惑をかけたな」などと感じるようになります。
大人には、子どもを「許して、信じて、待つ」気持ちが必要です。子どもの状態をまずは許して、「何とか自分を向上させたい」と思っている心を信じて、変わっていくのを待つしかありません。とにかく根気強く「何で?」と聞いているうちに、子どもはきっと変化し始めます。
「何でこうしなかったの?」ではなく、「何でこうしたの?」と聞くのがポイントです。ちょっとした違いですが、「しなかった」という否定の言葉を使うと批判のニュアンスが入ってしまいます。
いいか悪いか、保護者の答えが決まっていると感じたら、子どもは「怒られる」「終着点が見える」と思って、特に悪い話は避けたくなります。
進路について話したい時は、「大学のこと、どう考えているの?」「県外の大学に行きたいの?」など、子どもが自分の考えを話しやすい聞き方を意識してください。