模試の結果が返ってきたら、志望校の合格判定が気になるのは当然だ。現役生の場合、多くは良くない結果だと受け止めているかもしれない。ただ、この時期のD判定はよくあること。A判定やB判定はよほど手堅い選択でなければ取れないと考えた方がいい。多くの受験生がC判定やD判定でこの時期をじっと耐え、年明けの入試本番に備えているのだ。
模試を受けた後、最も重要なことは「やり直し」だ。たとえA判定でも、やり直しや見直し、頭の中で整理を付けるべきところは必ずある。一般的に国公立大2次試験は得点が6割を超えれば合格圏内とされている。裏返せば、3~4割はやり直しをするところがあるということだ。保護者は、合格判定の結果よりも、やり直しの姿勢を重視してほしい。
A判定で安心感に浸るものではない。D判定やE判定で諦めるというのもまったく違う。模試の結果表からは「あと何点取ると判定が一つ上がったか」という点を読み取ることが大切なところ。やり直しでは、足りなかった点数を埋めるための方法を考えよう。どの教科からその点数を引っ張ってくるのか。どの問題が正解だったら判定が一つ上がっていたのか―といったことを考える機会にしてほしい。家庭でも「A判定だから良かった」「E判定だから悪かった」という会話よりも、「あと何点取れていたらC判定だったか」という会話の方が次につながる。
やり直しをしていると、「よく見る問題」で得点できていないことに気づくことがある。このような問題は学校の授業で扱われるものが多い。「基本ができていない」「こんなものもできないのか」と思った時ほど、学校の授業を大切にすること。それは、授業中に「目にしたこと」「教えてもらったこと」「学んでいること」を50分の授業時間中に頭の中に入れてしまうということだ。授業中に「分からないな。あとで聞こう」と思った瞬間に集中力は落ちる。
「あとでしよう」ということを極力減らし、「いまできること」を考えたい。自分にとって必要な情報を的確にノートに書き写したり、公式を再現できるように書き出したり、曖昧な英単語を書いて覚えたり、教師が説明を飛ばした計算を自分で解いたり。そうしながら授業の流れにもついていくことで、本当に集中して頭を使う50分間を過ごしてほしい。
これまで受験勉強にしっかり取り組んできたからこそ、自分の理解が曖昧な部分が見え始める。解かないといけない過去問はたくさんありすぎて、とても苦しく感じる時期だろう。勉強はパズルと同じで、難しいのは前半。半分を超えると残りのピースが少なくなってどこを埋めればいいのかが分かるため、一気にスピードが上がるもの。受験勉強もこのスピードが上がるタイミングがいつか来ると信じて、一つずつ進めていくしかない。
そろそろ入試本番に向けたコンディション調整も意識しよう。まずは朝起きる時間を一定にすることから。試験の多くは午前中に実施される。「夜寝る時間が遅くなったから翌朝起きる時間を下げる」のではなく、夜何時に寝ても次の日は同じ時間に起きること。「普段」の過ごし方を本番に近づけていくことで、力を出すことができるのだ。