経験の差見せつけた若隆景の速攻

若隆景(左)が押し出しで琴栄峰を下す=両国国技館

 真夏のような暑さから一転、今場所の最終盤は肌寒さが続く。不安定な天候もどこ吹く風。若隆景の心技体には一切の狂いがない。

 支度部屋では入念な準備運動を重ね、緊迫感を漂わせた。琴栄峰との3敗対決に完勝。「下から速い相撲を取れた」との言葉にもぶれがない。霧島とついに首位で並んでも、表情は変わらなかった。

 経験の差を見せつけた。9歳下で22歳の新鋭の左張り手に動じず、低く鋭く踏み込む。右おっつけ、左はずで速攻。一気の出足で押し出した。土俵下の九重審判長(元大関千代大海)が「エンジン全開。息一つ荒れない。寄せ付けない集中力だ」とうなる内容だった。

 右肘は万全ではない。先場所前に痛め、13日目に右上腕の筋肉も切れて残りを休場。超音波治療などで回復に努めた。師匠の荒汐親方は「まげを直す間も自分の稽古の動画を毎日見ていた。相撲のことしか考えず、一度も痛いと言わない」と姿勢を称賛した。

 2度目の賜杯となれば25場所ぶりで、3番目の長期ブランク。幕下に落ちた幕内優勝経験者が再び栄冠に輝くのは照ノ富士に次いで2人目となる。

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