手元のメモに目を落としながら、白鵬さんは硬い表情で日本相撲協会退職の経緯を説明した。9日の記者会見は東京都内のホテルで行われ、約100人の報道陣が集結。主催者が質問殺到を避けるため「1社1問」と通達した会見は予定よりも15分短い約45分で終了し、かみ合わない答えも多かった。
質疑応答の前に、今後の活動方針を発表。「世界相撲グランドスラム」構想を掲げて、世界に相撲を広げていく夢を語ったが、具体性は乏しかった。「相撲協会の中でやることはできなかったのか」との問いには、話題をそらして明確な回答を避けた。
会見では退職の経緯に関心が集中した。今年3月には退職に気持ちが傾いていたことを明かし、部屋の再開を巡って「昨年の話と今年の話でずれがある」と協会幹部への不信感を示した。
モンゴルから来日した当時、62キロと細身だった少年は大横綱となった。「弟子たちを指導しながら横綱、大関になるのを見たい気持ちはあった」と未練ものぞかせた。40歳での角界からの退場劇は、すっきりしない印象が拭えなかった。