芥川賞作家の李琴峰さんが、性別変更歴のあることを交流サイト(SNS)で暴露されたほか、変更前の写真や氏名を掲載されたのはプライバシーの侵害などに当たるとして、村松裕美甲府市議に550万円の損害賠償などを求めた訴訟の判決で、東京地裁(本村洋平裁判長)は29日、市議に110万円の支払いを命じた。投稿が李さんのプライバシーを違法に侵害したと判断した。
性自認などを本人の同意なく暴露するアウティングを巡る賠償命令は異例とみられる。
判決によると、台湾出身の李さんは2013年の来日前に男性から女性に変更し、公表せずに活動していた。24年5月、面識のない村松市議がフェイスブックに「体が男性で手術もしていない」などと投稿。いったん削除した後、性別変更前の写真や氏名を掲載した。
市議側は、著名な作家であることを考えると公表の必要性は大きかったと主張。判決は、身体的性別や性自認と密接に関わる情報で秘匿する必要性が高く、公表に合理的な理由もなかったと指摘した。削除後に再投稿した点は「強い非難を免れない」とした。