ニュース作品として選ばれた西日本新聞社の「歪んだ関係―福岡県政を追う」は、福岡県議会の高額な海外視察や、正副議長ポストをめぐる現金授受疑惑など、常態化していた不適切な慣行を暴き、地方政治を監視した。
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西日本新聞社の「歪んだ関係―福岡県政を追う」は、権力監視というジャーナリズムの役割を端的に示した報道である。
福岡県議会の高額な海外視察費、県職員による議員のパーティー券購入、正副議長ポストをめぐる現金授受疑惑など、報道が明らかにした一つ一つの波――。波は重なって、うねりとなった。福岡から全国に広がり、改革の動きを促している。
私が注目したのは、記者が感情に任せて記事を書き、県議会幹部を「悪者」にしたわけではないことだ。調査し、事実を積み上げ、冷静に報じて読者に判断を委ねる。地道な作業が共感を呼んだのではないか。
民主主義は、独裁・権威主義よりもはるかに優れたシステムである。しかし、選挙で票を獲得するためのプロセスや、議会と行政のもたれあいの中で腐敗が生じがちなのは、福岡、また、日本に限ったことではない。
記者は、選挙で選ばれる存在ではない。だからこそ、誰にも貸し借りのない「一市民」として行動し、報道を通じて民主主義の腐敗を防ぐことができる。
米国では、新聞がなくなった「ニュース砂漠」地域で、贈収賄などの汚職が増加したという調査研究もある。健全なジャーナリズムは、民主主義を支える力となる。
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やまわき・たけし 1964年生まれ。兵庫県出身。京都大学法学部卒。朝日新聞社に入社。事件、行政、経済、国際、調査報道などに携わる。オックスフォード大学客員研究員、ワシントン特派員、論説委員、GLOBE編集長、アメリカ総局長、編集委員などを経て退職。2022年より現職。