日中戦争時に陸軍軍医学校(東京)の軍医が精神疾患で入院中の日本兵に対し、蚊が媒介し発熱などを引き起こすマラリアに感染させる人体実験をしていたことが17日分かった。国内での感染拡大を防ぐ研究として、既に感染した日本兵の血を吸わせた蚊を用意し、国内で統合失調症などの兵士10人に刺させて発症するかどうかを調査。感染により高熱や体の痛みなどが出ていた。実験を詳述した論文を明治学院大国際平和研究所の松野誠也研究員が確認した。
松野さんは「被験者にされた兵士は実験内容やリスクを正確に認識できていなかった可能性がある」と指摘。捕虜などではなく自国の兵士を対象にした点に着目し「国籍は関係なく、国家や戦争遂行に貢献できなければ被験者にしても構わないという冷酷さや、人間を研究材料としか見ない発想が垣間見える」と語った。
マラリアはマラリア原虫に感染した人の血液を吸った蚊が別の人を刺して感染が広がる。重症化し死亡することもある。
陸軍軍医団の機関誌に掲載された論文によると、実験は1940年、国府台陸軍病院(千葉)で実施した。