戦時中の事故で朝鮮人を含む183人の犠牲者が出た山口県宇部市の「長生炭鉱」で見つかった人骨のDNA型鑑定が進められている。父を失った愛知県刈谷市の常西勝彦さん(84)は「この手で墓に骨を入れたい」と願い続けてきた。鑑定の対象が限られ、父の遺骨と判明する可能性は低いと自覚している。それでも「わずかでも望みをかけるしかない」と祈る。
海底を掘り進めた長生炭鉱で1942年2月3日、水没事故が発生し、20代だった父初忠さんが巻き込まれた。常西さんは宇部市で育ちながら長生炭鉱のことを知らなかった。家には父の写真が1枚残っていたが、祖父は「炭鉱で死んだ」と話すだけだった
きっかけは2021年、長生炭鉱を取り上げた新聞記事だった。遺骨の捜索や調査に当たる地元の民間団体「長生炭鉱の水非常を歴史に刻む会」に問い合わせると、犠牲者として父の名前があることを知り、衝撃を受けた。
刻む会は昨年8月と今年2月、計2人分と想定される人骨を炭鉱跡から回収した。常西さんは2月の捜索に立ち会い、骨を実際に手に取った。