小説舞台で井伏鱒二しのぶ

山梨県富士河口湖町の「天下茶屋」で、井伏鱒二との関わりについて話す先代店主の外川満さん(左端)ら=10日午前

 作家の井伏鱒二や太宰治の小説に登場する山梨県富士河口湖町の「天下茶屋」で10日、井伏の命日に合わせて「鱒二忌」が初めて開かれた。井伏は天下茶屋を度々訪れており、初代店主に宛てた書簡や、店の湯飲みを描いた色紙も公開された。

 富士山を一望する茶屋に店主や親族ら約10人が集まり、店に伝わる井伏のエピソードや思い出話を語り合った。先代店主の外川満さん(82)は「気を使われるのが嫌いで、釣りや小説の取材で店に来る時はいつも普通の家庭料理を一緒に食べていた」と振り返った。

 井伏が親交の深かった初代店主の故外川政雄さんに宛てた書簡には、銀座を訪れるついでに自身の作品が原作の映画「秀子の車掌さん」を見に行くといった日常のやりとりが記されていた。

 政雄さんの遺品からは井伏の書簡やはがきが他にも複数見つかり、今後整理を進めるという。

 井伏は執筆や川釣りのためしばしば山梨県を訪れ、天下茶屋を舞台とした短編「大空の鷲」を著した。太宰を店に招いたことでも知られ、太宰の「富嶽百景」にも登場する。

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