慶応大発のバイオベンチャー「ハートシード」は12日、人工多能性幹細胞(iPS細胞)から作った心筋細胞の塊「心筋球」をカテーテルで重い心不全患者に移植する臨床試験(治験)を開始したと発表した。iPS細胞由来の心筋細胞移植はこれまでも行われているが、同社によると、開胸手術を必要としない手法は世界初という。
治験は、心臓のポンプ機能が低下する「拡張型心筋症」と、心筋に血液が行き渡らなくなる「虚血性心疾患」を対象に、2年間でそれぞれ7例、計14例の移植を計画。脚の付け根から血管に専用のカテーテルを挿入し、心臓の内側から1億5千万個程度の心筋細胞を移植する。信州大病院(長野県)で3月下旬、拡張型心筋症を患う70代男性に1例目を実施し、経過は良好だとしている。
心筋球は、健康な人のiPS細胞から作った心筋細胞を球状にしたもの。移植すると心臓の組織にくっつき、機能回復が期待される。同社は、開胸手術で心臓に心筋球を直接注射する手法を先行開発しており、年内にも厚生労働省に製造販売の承認申請を行う方針。