江戸時代の画家伊藤若冲の絵巻物「果蔬図巻」について、所蔵する福田美術館(京都市)と奈良文化財研究所は30日、科学分析の結果、描かれた果物が重ね塗りで表現されている可能性があることが分かったと発表した。顔料に含まれる元素の密度を濃淡で示す「元素マッピング」で判明。若冲の色彩表現について技術的特徴の一端が明らかになったとしている。
若冲が晩年に描いた作品とされ、カボチャやリンゴなどの野菜や果物が色とりどりに表現されている。
奈文研などが昨年3月、物理的負荷をかけず広範囲を測定できる特殊な装置を用いて元素マッピングを試みた結果、表面上は濃淡のあるえんじ色で描かれたモモの下地部分に銅を検出。若冲が白みのある顔料「白緑」を使い、重ね塗りをした可能性があることが判明した。
奈文研によると今回の装置は主に古墳壁画など埋蔵文化財の調査に使われており、担当者は「美術工芸品を含む幅広い文化財に対しても有効に活用できることを示した」と強調した。
図巻は福田美術館で7月5日まで公開している。