佐賀県警科学捜査研究所(科捜研)元職員のDNA型鑑定不正の余波が収まらない。鑑定に疑義を訴える男性の支援を弁護士らが始め、裁判では弁護側が証拠採用に同意しないケースが続発。警察庁が進めている特別監察では、県警の内部調査と事実関係の齟齬が浮上した。科学捜査の根幹を揺るがす事態を招き、説明も疑問視される県警の信頼回復は遠い。
「鑑定したのが元職員かどうか調べてほしい」。2025年10月、県警のDNA型鑑定を受けた40代男性から、佐賀県弁護士会に手紙が届いた。
男性は17年11月に覚醒剤取締法違反容疑で逮捕され、無実を主張。公判では県警が提出した鑑定結果が証拠採用され、19年2月、懲役2年6月の実刑判決が確定した。
採用された鑑定は、覚醒剤の袋の付着物と男性のDNA型が一致したとのもの。県警によると元職員は17年6月から不正を働き、逮捕と時期は重なる。有志の弁護士が実態解明を進めており、再審請求も視野に入れる。
弁護士会によると不正発覚後、佐賀地裁の公判では弁護側が鑑定の証拠採用に同意しない事例が相次ぐ。