【北京共同】米格付け会社S&Pグローバル・レーティングは23日、資金繰りが悪化している中国の不動産大手、万科企業の格付けを一部債務のデフォルト(債務不履行)を意味する「選択的デフォルト(SD)」に引き下げたと発表した。社債を通じて投資家から借りた20億元(約440億円)を当初の期限の15日までに返済できなかったことを踏まえた。
万科はマンション販売でトップクラスの実績を誇った大手だが、不動産不況の長期化で思うように売れなくなり、経営危機に陥った。22日までの債権者との交渉で30営業日の支払い猶予が認められたことで、S&Pは「実質的なデフォルト」と判断した。
万科を巡っては、大株主として経営を支えてきた国有企業の深セン市地鉄集団が融資条件を厳格化したとの報道もあり、資金繰りは予断を許さない状況だ。他の社債の返済期限も迫る中、S&Pは資金余力の乏しさを指摘している。
SDは、企業が特定の債務だけを履行しなかったとS&Pが判断した場合に付与する格付け。全ての債務不履行の格付けは「デフォルト(D)」となる。