訪日中のカザフスタンのトカエフ大統領は19日、東京都渋谷区の国連大学で講演し、昨今の国際情勢を巡り「核の危機が再び高まっている」と懸念を表明した。カザフスタンと日本が核兵器の被害を受けた歴史を持つことを踏まえ、両国が軍縮に向け「対立を和らげ、指導力を発揮することができる」と訴えた。
カザフスタンではソ連時代、核実験場で行われた核爆発により多くの市民が被害を受けた。ソ連崩壊後、1994年にロシアと米英が安全保障を約束したブダペスト覚書に基づき、国内に残った核兵器を放棄した。
トカエフ氏は、世界の安全保障を核抑止力に頼るべきではないと指摘。核放棄の決断は「平和への強い決意の表れだ」と強調した。