シカの防除柵がどの程度、食害からの生態系の保護につながっているのか検証しようと、九州大などの研究グループは、各地の柵設置者にサンプル調査に協力してもらうプロジェクトの立ち上げを計画している。クラウドファンディング(CF)で支援を呼びかけており、来年1月19日までに150万円の集金を目標とする。
計画では最低50地点の柵の内外で、設置者に植物や昆虫の調査や、土壌の収集などを依頼。報告の内容や土壌サンプルを研究グループが分析し、食害の実態や柵設置の効果を明らかにする。
九州大大学院の阿部隼人助教(森林生態学)によると、柵内外で動植物の数や種類に大きな差がみられることが多い。「シカの食害による生態系の荒廃は深刻だ。全国規模の調査を行い、より効果的な柵の活用法を模索し、問題の解決に向けた新たな道筋を示したい」と意義を強調した。
プロジェクトには東京大や京都大の研究者も参加。支援は学術系CFサイト「アカデミスト」を通じて行える。