【キーウ共同】ロシアに侵攻されるウクライナのゼレンスキー大統領は28日、最側近で事実上の政権ナンバー2、イエルマーク大統領府長官を解任した。政権中枢の人事を掌握し、外交・安全保障分野を含めて広範な影響力を行使してきたイエルマーク氏の解任で、政権の意思決定機能の低下は避けられない。戦時下の国家運営に空白が生じる恐れもある。
国営原子力企業エネルゴアトムを巡る巨額汚職事件を受け、政権への信頼が揺らいでいた。ゼレンスキー氏は「影の支配者」とも称されたイエルマーク氏の解任が不可避と判断した。
イエルマーク氏は和平案を巡る交渉団トップを務めるなど、国内外のあらゆる政策決定に影響力を持つとされる。
ウクライナの国家汚職対策局(NABU)は28日、イエルマーク氏の自宅を家宅捜索したと発表した。立件される事態になれば、米国が示した和平案の交渉への影響は避けられない。
イエルマーク氏は28日「自宅が捜査されている。私は全面的に協力している」と通信アプリに投稿した。