関西電力の美浜原発3号機(福井県美浜町)と高浜1~4号機(同県高浜町)の安全対策に不備があるとして、地元住民らがそれぞれ運転差し止めを求めた仮処分の即時抗告審で、名古屋高裁金沢支部は28日、いずれも申し立てを退ける決定をした。大野和明裁判長は「抽象的な危険性だけで原発の運転差し止めを認めるべきではない」と判断した。
美浜3号機と高浜1、2号機は営業運転の開始から約50年がたち、高浜3、4号機も40年が経過している。6月に始まった新制度で60年を超える運転も事実上可能となる中、耐震設計の目安となる基準地震動の算定や老朽化対策、避難計画の妥当性が争点だった。
基準地震動について大野裁判長は「地盤構造など地域性の違いを十分に考慮することが必要だ」とし、両原発での算定は妥当と指摘。配管などの劣化管理に関しては「関電の原因調査や対策が不十分とは認められない」とした。
美浜3号機は1976年、高浜1~4号機は74~85年に運転を開始。福井地裁は昨年3月、運転差し止めの申し立てをいずれも退ける決定をしていた。