【香港共同】大学を卒業したばかりの娘の安否が分からない―。香港北部で発生した高層住宅群の大規模火災で、避難所で取材に応じた住人の50代の母親は「優秀な娘どこ」と泣き崩れた。火災では多数の住民らと連絡が取れないまま。1週間ほど前の卒業式の写真には、ほほ笑む姿。母親は一緒に住む娘を捜し続けていた。
母親は娘ら家族と20年以上、高層住宅に住んでいた。火災は26日午後2時50分ごろに発生。娘は同3時過ぎに友人と通話し、それ以降、連絡がつかなくなった。当時どこにいたかは分かっていないが、住宅内にいた可能性もあるという。
娘が通っていた香港理工大の卒業式は19日にあり、母親も出席。晴れ姿をスマートフォンで収めたばかりだった。報道陣に見せた写真には、黒い角帽とガウンを身に着け、花束を抱えてほほ笑む娘の姿があった。隣に寄り添った母親は、指でハートの形を作っていた。
「成績優秀な子だった。生きているか死んでいるか分からず、胸が痛い」と母親は苦しそうな表情で号泣した。