東大病院の医療機器選定を巡る贈収賄事件で、病院で使う新たな医療機器を登録するには、別の機器を削除する必要があることが、警視庁捜査2課への取材で分かった。収賄容疑で逮捕された医師の松原全宏容疑者(53)に登録申請する権限があり、同課は贈賄疑いのメーカー元社員が自社製品の登録継続のため寄付を繰り返したとみて経緯を調べる。21日、松原容疑者らを送検した。
同課によると、医療機器は診療分野ごとに登録総数が決まっており、登録や削除に際し病院内の委員会が審査をしていた。松原容疑者は、主に大腿骨の手術をする整形外科の「外傷診チーフ」を務め、委員会に機器を申請する立場だった。
逮捕された「日本エム・ディ・エム」の元東京第2営業所長鈴木崇之容疑者(41)らは、2019年春ごろから、大腿骨を接合する自社製品の登録を目指して営業を開始。同9月に松原容疑者が委員会に申請し、同11月に製品が登録された。
鈴木容疑者らは、登録後3回にわたって寄付金計120万円を東大病院に振り込み、松原容疑者に約100万円が渡ったとされる。