生活保護費の引き下げを違法と断じた最高裁判決から約5カ月。「歴史的勝訴」と歓喜した原告らは、ようやく固まった政府の一部補償方針に落胆を隠せない。求めていた減額分の全額補償とはほど遠い内容のためだ。
原告らは今年6月の最高裁判決直後から、全額補償と早期解決を訴えてきた。厚生労働省に赴いて7回にわたり粘り強く交渉したが、毎回ゼロ回答。補償方針を検討する専門委員会で、出席による意見陳述を許されたのは1度だけだった。
10月28日、東京都内での集会には、原告や支援者ら800人以上が集まった。登壇した北海道の原告鳴海真樹子さんは、物価高騰で生活費は切迫しており「少しは安心した生活に戻れると思ったのに、いまだに削り取った保護費も返してくれない」と憤った。
訴訟弁護団によると、千人を超える原告のうち200人以上が既に亡くなった。政府は死亡した受給者は補償の対象外とする方針だ。
野党幹部は「判決を受けた対応なのに、当事者である原告がほとんど関与しないまま決めてしまっていいのか」と指摘した。