東大病院の医療機器選定を巡り、医療機器メーカーから奨学寄付金名目で賄賂を受け取ったとして逮捕された医師で東大医学部准教授松原全宏容疑者(53)が、メーカー元社員らに寄付金の申込書類に記入する研究内容を指示していたことが20日、警視庁捜査2課への取材で分かった。不正な申請の発覚を免れようとした意図があったとみられる。
同課によると、「日本エム・ディ・エム」の元東京第2営業所長鈴木崇之容疑者(41)=贈賄容疑で逮捕=らは、指示を受けて記入した研究が実際に行われたかどうか把握していなかった。
同社側が2020年2月と23年2月、東京都台東区や新宿区の飲食店で松原容疑者に計2回、接待をしていたことも捜査関係者への取材で分かった。時期は寄付の前後で、飲食代金は計22万円以上。国立大病院の医師は収賄罪の適用対象となる「みなし公務員」で、民間病院に勤務する別の医師との会食費として社内で経費精算されていた。
捜査2課によると、鈴木容疑者らは19年春ごろから松原容疑者に寄付金の支払いを提案したとみられる。