2017年3月、ネパール人の男性=当時(39)=が警視庁新宿署で拘束具を装着された後に亡くなり、妻が東京都などに損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、東京高裁は19日、都に約100万円の賠償を命じた一審判決を変更し、約3900万円の支払いを命じた。拘束具を使う際、血流を阻害しないようにすべき義務があるのに違反したとして、死亡との因果関係を認めた。
判決によると、男性は17年3月14日、新宿署に占有離脱物横領容疑で逮捕され、翌15日、腹や両手を締めるベルト手錠などで拘束され、高カリウム血症となり死亡した。
一審東京地裁判決は、血流を著しく妨げたとは認められないとする一方、男性の両手首から先が赤黒く膨張していたのに病院に搬送しなかったのは違法とした。高裁の相沢真木裁判長は、拘束具を使う判断自体は不合理でないとしつつ、警察官が必要以上の強度で拘束具を装着させており、血流が著しく阻害されたと判断した。
控訴審では、検証の手続きで裁判官が拘束具を実際に装着。男性のケースより緩くしていても痛みを訴えるほどだった。