【ソウル共同】韓国の李在明大統領が、朝鮮半島で戦争が起きた際に韓国軍を指揮する「有事作戦統制権」の韓国側移管に強い意欲を示している。現在は事実上米軍が持っており、安全保障面での「主権回復」を目指す。現状では北朝鮮の動向偵察や監視の多くを米軍に依存しているとされ、韓国軍の実際の統制能力には疑義も残る。
「有事作戦統制権を回復し、韓米共同防衛体制を主導する」。李氏は10月1日の「国軍の日」の演説で改めて強調した。
有事統制権は1950年の朝鮮戦争勃発時、当時の李承晩大統領がマッカーサー国連軍司令官に移管。78年に在韓米軍司令官が兼務する米韓連合軍司令官に引き継がれた。平時の統制権は94年に韓国軍に返還され、有事統制権も2012年の移管で合意したが、安全保障上の理由で延期を繰り返している。
米韓は14年、返還の条件として韓国軍に(1)共同防衛を主導する能力(2)北朝鮮の核、ミサイルへの対応力(3)朝鮮半島と地域の安全保障環境の安定―の3項目を満たすことを確認している。