奈良県立橿原考古学研究所は5日、飛鳥時代に歴代天皇の宮殿があった同県明日香村の飛鳥宮跡で、政治や儀式の場とされる「正殿」の規模を発掘で確定したと発表した。建物は東西約20m、南北約11・2m。周囲には段差のある石敷きが巡り、格式高い造りだった。
飛鳥宮跡は造営順に3時期に分かれ、今回の正殿は7世紀後半の斉明・天智天皇の後飛鳥岡本宮や、天武・持統天皇の飛鳥浄御原宮の時期。宮殿中枢部である内郭のうち、公的空間だったとされる南区画に位置する。
研究所は1979年度に正殿の西半分を発掘、今年7月からは東半分の約300平方mを調査。左右対称という事前の想定通りに、建物の柱があったことを示す穴を確認した。
建物から北側に延びる石敷きもあった。前回の調査も踏まえると長さ約10m、幅約3m。
東京学芸大の木下正史名誉教授(考古学)は「建て替えの痕跡が見られず、斉明天皇から持統天皇による藤原京遷都までの約40年間、宮殿の中心施設として使われたのではないか」と指摘した。
現地説明会は8日と9日。午前10時から午後3時まで。