陸上自衛隊は5日、秋田県内でクマ被害が相次いでいる状況を受け、同県鹿角市でクマ対策の支援活動を始めた。箱わなの設置や運搬などの後方支援に当たり、銃器による駆除は行わない。秋田県と陸自は支援活動に関する協定を締結した。自衛隊法100条に基づく輸送事業として行い、活動期間は30日まで。今後は要望のあった大館、北秋田両市などでも順次実施する方向で調整している。
2025年度のクマによる全国の犠牲者は過去最多となっている。秋田県と陸自の協定書は、箱わなの設置や運搬のほか、見回りをする猟友会員らの輸送、駆除したクマの運搬と埋設のための掘削、ドローンなどを使った情報収集を担うと定めている。支援するのは秋田駐屯地(秋田市)が拠点の第21普通科連隊。
防衛省は、5日は隊員15人ほどが鹿角市内で猟友会のメンバーと共に、箱わな一つを6キロ先まで移動させる作業に当たると説明した。活動開始に先立ち、鹿角市主催の受け入れ式が開かれ、笹本真司市長は終了後、「自衛隊と協力関係を築いて市民の安全確保を成し遂げたい」と話した。