【ワシントン共同】新型コロナウイルスワクチンを接種した肺がん患者は接種していない患者に比べて生存期間が長い傾向を確認したとの分析を、米テキサス大MDアンダーソンがんセンターなどのチームがまとめた。接種により、がん細胞に対する免疫機能が活性化された可能性があるという。成果が英科学誌ネイチャーに23日までに掲載された。
免疫の仕組みを利用した「免疫チェックポイント阻害剤」を使った治療を受けていた患者が分析の対象。インフルエンザワクチンなど、メッセンジャーRNA(mRNA)以外の仕組みを使ったワクチンを接種した患者では効果は見られなかった。
チームは肺がんや、皮膚がんの一種「悪性黒色腫(メラノーマ)」の患者約千人の治療記録を分析。ファイザー、モデルナのコロナワクチンを接種した肺がん患者の生存期間は約37カ月で、約21カ月だった未接種患者の2倍近かった。メラノーマについても同様に接種患者の生存期間が長い傾向だった。
がん治療開始の100日以内に接種を受けた患者で、より高い効果が見られた。