新聞は内容が充実、正確性に信頼

タレントの山崎怜奈さん

 新聞は5紙をデジタルで読んでいる。「選挙など大事なニュースのときはタブレット画面で紙面のレイアウトを確認し、見出しの内容や扱いの大きさを見比べています」。FMラジオで週4回、自身の名を冠した番組の司会進行役を務めている。自宅で紙の新聞を取っていない代わりに、ラジオ局の報道フロアに立ち寄り、新聞を借りて読むことも多いという。

 子どもの頃から本を読むのが好きで、自宅では小学生新聞を購読。学校では図書係を務めて図書室で新聞を読んでいた。科学ニュースや4コマ漫画が好きだった。新聞のコラムをノートに書き写す宿題が出たこともあった。

 クイズ番組や歴史番組などに出演し、最近はテレビの選挙特番など、報道番組への出演機会も増えた。複数の新聞を読むのは「番組で自分の言葉での発言を求められ、発信する側の人間であることを意識することが増えた」からでもある。「自分が発言する際にいろいろな視点を取り入れられるようにするため、新聞を読み比べることが役に立っています。同じニュースでも、記事の内容や視点に新聞各紙で違いがあるから」

 若い世代がSNS(交流サイト)から情報を得ることがほとんどであることについては「私もSNSを活用しているので、それ自体は否定しません」と認める。その上で「SNSから早く簡潔に得られる情報だけをうのみにするのは、危ういと思います。新聞記事は手間をかけて裏取りされている分、内容の正確性や充実度は信用できる」と語る。

 できるだけ一次情報に近い情報に当たることを心がけている。例えば選挙では政党のマニフェスト(政権公約)や、候補者本人によるSNSや街頭演説の動画などを見る。その上でテレビやラジオ、新聞などのマスメディアの報じ方や、SNSでの評判なども調べるようにしている。

 選挙に際してのファクトチェック報道などで、新聞やテレビが正確な情報発信を通じて有権者に冷静な判断を呼びかけていることについては「報道を見て、闘っていると感じた」と話す。「デマや差別が横行し、何が確かな情報源か分からなくなっている言論空間で、客観性のあるデータに基づき、さまざまな記者の目が入った確かな記事を伝えるんだという、ニュースの発信源としてのプライドを感じました」

 新聞のサイトで利用するのは文字情報だけではない。忙しいときは、移動中などに音読機能を利用して耳で記事を聞く。記者がニュースを解説するポッドキャストなどの音声番組も活用するという。

 検索機能を使い、過去にさかのぼって記事を読むことも多い。「震災とか新型コロナウイルス禍などといった大きなニュースについて、デジタルの検索機能で当時の記事を読むと、あの時どんなことが起きていて、どう報じられていたかを今の視点で振り返ることができる。それが便利です」

 過去の記事をよく読む理由は「一回しかない人生をよりよく生きるには、過去から学ぶことが大切」と考えるから。美術館や博物館によく通うのも「過去の人間が残した美しいものや、過去の歴史が保存され展示されているから」だと話す。

 司会進行を務めるラジオ番組では、「言葉を大切にしたい」と語る。「言葉は人を殺したり、傷つけたりすることも簡単にできてしまう。自分が傷つくことがあっても、傷つける側に回りたくない」。半面、言葉には人を温かく包み込む力もある。自分が放送で発した言葉に救われた人もいることをメールなどで知ると「すごくうれしい」。

 「ラジオは視覚情報がなく、音声だけしか情報伝達手段がないメディア。だからこそ自分が発する言葉はなるべく丁寧に選び、ぬくもりのある放送を届けたい」と考える。そのためにも、スーパーで買い物をして自分で料理を作るなど「生活者としての営みを大切にすることで、生活を穏やかに、心身ともに健やかに過ごす」ことを心がけている。

 心身が健やかであるためには「仕事ファーストはよくない」とも。「プレッシャーがかかる仕事も多いけれど、それで自分が揺らいだり疲弊したりすると、発信者としてゆがんでしまう」と思うからだ。

 やまざき・れな 1997年生まれ。東京都出身。慶応義塾大卒。アイドルグループ・乃木坂46で2022年まで活動。20年からラジオ番組「山崎怜奈の誰かに話したかったこと。」(TOKYO FM)でパーソナリティーを務める。テレビの情報番組やクイズ番組にも出演している。25年9月に著書「まっすぐ生きてきましたが」(マガジンハウス)が発売された。

 この記事は新聞週間に合わせて、日本新聞協会の会員新聞・通信・放送社が共同制作したものです。

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