高市早苗前経済安全保障担当相(64)は自身を「穏健保守」とアピールするが、自民党総裁選の論戦が白熱する中で「強硬保守」とも取れる主張を展開した。奈良のシカの「虐待被害」を取り上げて外国人政策の強化を唱えたほか、人権侵害の懸念がくすぶるスパイ防止法を「必要」と強調した。
「今やいろんな保守政党が出てきたので、私は穏健保守か中道保守に当たると思う」。高市氏は立候補を表明した9月19日の記者会見でこう語り、前回総裁選で明言した首相就任後の靖国神社参拝を封印した。
ところが告示日の演説では様子が一変する。インバウンド(訪日客)が奈良公園のシカを蹴っているとの自説に基づき「日本人が大切にするものを痛めつけようとする人がいるとすれば、行き過ぎている」と主張。「根拠が不明確だ」との批判が起きた。
スパイ防止法は1985年、自民が最高刑を死刑とする法案を提出し、「国民の知る権利を侵害する」と反発を受けて廃案になった経緯がある。一方、高市氏は総裁選期間中の討論イベントで必要性を強調した。