長野県中野市で2023年、住民と警察官の計4人が刃物や猟銃で殺害された事件で、殺人と銃刀法違反の罪に問われた同市、農業青木政憲被告(34)の裁判員裁判が24日、長野地裁(坂田正史裁判長)で開かれ、検察側は死刑を求刑した。「何の落ち度もない住民の命を奪い、臨場した警察官を殺害して社会を震撼させた。類を見ないほど悪質だ」と指摘した。
26日の弁護側最終弁論を経て結審し、10月14日に判決が言い渡される。被告は以前から周囲に「(独り)ぼっち」「きもい」と悪口を言われているとの妄想を抱き、住民2人に激高して殺害したとされ、刑事責任能力の有無が主な争点だ。
検察側は論告で「妄想症」はあったが「犯行に直接の影響はなく、判断能力に問題はない」とした。
起訴状によると、23年5月25日夕、近くに住む竹内靖子さんと村上幸枝さんをナイフで刺して殺害。通報で駆け付けた中野署地域課の池内卓夫警部=2階級特進=に猟銃を発射し、玉井良樹警視=2階級特進=にも発射した上、ナイフで刺して殺害したとしている。