日本生命保険は12日、銀行など七つの販売代理店に出向した13人が、604件の社外秘情報を不正に持ち出していたと発表した。対象は三菱UFJ銀行への出向が始まった直後の2019年5月~25年2月。日生の担当部署で情報を受け取ったのは23人で、担当役員や管理職も含めて約270人が共有していた。不正競争防止法上の営業秘密保護の趣旨に照らして不適切と判断。日生関係者からの「明示的な指示はなかった」として、組織的な不正は否定した。
不正取得したのは、銀行などの保険販売に関する業績、他の生命保険会社の商品情報など。「逆流厳禁」の文言を付けて資料を作成していた。7代理店は明らかにしていない。
出向者は自らの評価向上につながるとの期待に加え、日生商品の販売拡大への思惑から持ち出したという。日生の赤堀直樹副社長は記者会見で謝罪した上で「銀行などとの信頼関係を損ね、保険販売業績への影響は大きい」と述べた。
社内調査の開始後、持ち出したデータを保存したフォルダーが削除されていた。日生側は隠蔽の意図はなかったと説明した。