脳卒中や交通事故で脳が損傷を受け、読み書きや発語が困難になる「失語症」をテーマにしたオリジナルの朗読劇「言葉のラビリンス《迷宮》」が9月7日、東京都内で上演される。演じるのは、言葉とともに生きがいを取り戻そうとする当事者たち。プロの俳優も加わり“見えない障害”とも言われる失語症への理解が広がることを願う。
脚本、演出の石原由理さんは海外作品の戯曲翻訳家として活躍していた2013年、脳梗塞を発症し「読む・書く・話す・聴く」が全くできなくなった。うつ病になり、ひきこもっていたある日、自分が書いた台本のせりふを口にしてみた。すると、少しずつ言葉をしゃべれるようになった。
病院のリハビリは発音などが中心だが、失語症の当事者が求めているのは感情や身ぶり手ぶりを交え、人や社会とつながることができる日常会話。朗読はトレーニングに適していると実感し、21年に教室を始めた。これまでに40人ほどが参加した。
朗読劇は東京都北区の「北とぴあ つつじホール」で。9月7日午後1時半開演(午後0時45分開場)。