フジテレビの第三者委員会が認定した元タレント中居正広氏の「性暴力」を巡る一連の問題で、フジは28日、同社のアナウンサーだった女性への適切な対応や会社への重大な影響を回避する対策を怠ったとして、港浩一前社長と大多亮元専務に計50億円の損害賠償を求めて東京地裁に提訴したと発表した。請求額は6月末までに被った損害額の総額約453億円の一部としている。
フジによると、中居氏の事案は2023年6月に発生。港氏と大多氏は報告を受けていたが、重大な人権侵害の可能性があったにもかかわらず、専門的な助言を受けて原因を分析したり、対策チームを設置したりする善管注意義務を怠ったとしている。
提訴の理由について、フジは「人権とコンプライアンスを最重要とする企業風土を確かなものにしていくためには、元取締役の責任を追及することが不可欠であると判断した」としている。
今年1月に社長だった港氏が記者会見したが、参加者を制限するなど閉鎖的な形式が批判を浴びた。同月末までに300社以上のスポンサーが離反し、広告収入が大幅に減った。