田沼意次に領民思いの一面

新たに見つかった史料「御地頭様御入国萬覚」の後半部分

 「賄賂政治家」として名前の挙がる江戸幕府の老中田沼意次に関する新しい史料が、領地の相良藩だった静岡県牧之原市で見つかり、市の史料館で展示中だ。領民思いの一面が記されていて「君主としての慈悲深さのようなものが見て取れる」と学芸員は話し、これまでの悪いイメージの払拭につながることを期待する。

 展示されているのは、意次が老中在任中の1780(安永9)年にお国入りした際、視察準備に関わった庄屋が記した備忘録とされる「御地頭様御入国萬覚」。

 市内の旧家から前半部分が昨年発見され、今年2月に後半部分も見つかった。意次に関する史料は非常に少ないといい、史料館の学芸員長谷川倫和さん(40)は、この発見を「すごくうれしかった」と明かす。

 意次の人柄について触れられているのは後半部分だ。高台から遠めがねを使って領地を眺めていると、藩主の姿を見ようとした大勢の見物人が押し寄せたが、意次は「棒で制してはならぬ」と規制しないよう指示。「ひなが立ち並んでいるような」人出だったが「構わないとのことである」と記されていた。

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