厚生労働省と環境省は22日、末期がん患者を対象とした自由診療の遺伝子治療で、遺伝子組み換え生物の使用を規制する「カルタヘナ法」に基づく必要な手続きをしていなかったとして「北青山D.CLINIC」(東京都渋谷区)に再発防止や製剤の廃棄報告を求める措置命令を出した。同法による自由診療への措置命令は初めて。
クリニックは「CDC6shRNA治療」という遺伝子治療で、特定の遺伝子を細胞に運ぶため組み換えウイルスを使っていた。
カルタヘナ法では、こうしたウイルスの取り扱いなどに関する書類を厚労相と環境相に提出し、承認を得る必要がある。クリニックは承認を得ないまま2009年以降、3千件以上の治療をしていた。
厚労省などによると、治療による有害事象やウイルスの外部への漏えいなどは確認されておらず、今年6月以降治療を中止している。クリニックは「措置命令を真摯に受け止め、報告や申請の体制を整えたい」とコメントした。