健康影響が指摘される有機フッ素化合物(PFAS)について、京都大のチームが全国から抽出した34カ所の下水処理場の下水汚泥を分析したところ、全ての処理場から検出されたことが20日、分かった。代表物質の一つで国際的な規制対象のPFOSはほぼ全てで確認。国は下水汚泥由来の肥料の普及促進に取り組んでいるが、PFASの指針値は設定されていない。
分析した大下和徹・京大准教授(環境デザイン工学)は「健康被害が懸念されるPFOSが、国内の下水汚泥全般に含まれている可能性がある」と指摘。「将来的にはデータの蓄積により指針値が策定されることが望ましい」とした。
チームは全国約2200カ所の下水処理場から、規模や処理方式、地域分布に偏りがないように34カ所を抽出。2023年に北海道から九州・沖縄までの処理場から半固形状態の下水汚泥(脱水ケーキ)を採取、汚泥中のPFOSなど30種類のPFASを調査した。
PFOS濃度の中央値は1グラム当たり5・1ナノグラム(ナノは10億分の1)で、最大値は69ナノグラムだった。