東京五輪・パラリンピックのスポンサー選定を巡る汚職事件で、大会組織委員会元理事側への贈賄罪に問われた出版大手KADOKAWAの前会長角川歴彦被告(81)の公判が19日、東京地裁であり、検察側は「トップとして直接的に犯行に関与した」とし、懲役3年を求刑した。「世界中の関心を集める重要な大会を一企業の利益のため利用し、公益的価値を踏みにじった」と指摘した。
被告はこれまでの公判で、元理事への金銭支払いに関し相談や報告は受けておらず、決裁権限もないなどとして無罪を主張している。9月3日に弁護側の最終弁論があり、結審する見通し。
検察側はこの日の論告で、社内で強い権限を持つ角川被告の意向は経営判断に反映され「スポンサー選定の案件は、被告の了承がないと進められなかった」とした。選定を実現させるため、元理事の高橋治之被告(81)=受託収賄罪で公判中=や、組織委会長だった森喜朗元首相らとの「トップ会談」に角川被告自ら出席したと述べた。
起訴状によると、元専務ら2人=いずれも贈賄罪で有罪確定=と共謀したとされる。