労災で妻を亡くした滋賀県の30代男性が、遺族補償年金について夫には年齢制限がある労災保険法の規定により受給できないのは男女差別で違憲だとして19日、国の不支給決定取り消しを求めて大津地裁に提訴した。原告側によると、同種訴訟は東京、仙台両地裁にも起こされている。
訴状によると、県内のクリニックで事務職員として勤務していた30代の妻は、上司からのパワーハラスメントなどが原因で精神障害を発症し2023年5月に自殺。労災と認められたが、大津労働基準監督署は今年3月、男性への遺族補償年金の不支給決定をした。
労災保険法では、夫を亡くした妻は年齢に関係なく受給できるが、夫の場合は妻の死亡時に55歳以上でなければ原則として受給資格がない。7月には厚生労働省の有識者研究会が、配偶者らが受け取る遺族補償年金について、性別による支給要件の違いを解消すべきだとの中間報告書をまとめている。
未就学児の子どもが2人いるという原告男性は提訴後に大津市内で記者会見し「私の訴えが制度改正のきっかけになってほしい」と話した。