中央省庁の官僚が野党への接近を強めている。自民、公明両党の衆参両院での少数与党転落を受け、政府提出の予算案や法案の成立には、野党の協力が不可欠となったためだ。野党も参院選で訴えた公約の実現を目指し「日本最大のシンクタンク」と評される霞が関との連携を重視。ウィンウィン(相互利益)の関係構築を模索する。
官僚は従来、法案を事前審査する与党との付き合いを優先してきた。野党との関係は「国会質疑に向けた打ち合わせなど限定的だった」(経済官庁幹部)のが実情だ。
変化のきっかけは、昨年の衆院選での自公大敗。政府と少数与党は政策ごとに立憲民主党や日本維新の会、国民民主党への譲歩を余儀なくされ、官僚は水面下の調整に奔走した。
7月の参院選でも自公は敗れ、財務省関係者は「野党の賛同がなければ、予算案も法案も通らなくなった。官僚も日頃から野党と意思疎通を図り、太いパイプをつくる必要がある」と話す。
野党にも専門知識に富む官僚と連携を強化したい思惑がある。協力を得て、選挙で掲げた政策を一つでも多く実現すれば、党の支持率向上に資すると踏む。