石破茂首相は戦後80年の節目に当たる15日、閣議決定する首相談話を出さなかった。1995年の村山富市首相の戦後50年以降、2005年の小泉純一郎首相、15年の安倍晋三首相と、10年ごとに終戦の日やその前日に行ってきた首相談話の発表が途切れた。石破首相は先の大戦検証を踏まえ、閣議決定しない形式での自身の見解表明に意欲的で、引き続き発表時期を模索している。
首相は15日、政府主催の全国戦没者追悼式の式辞で「進む道を二度と間違えない。あの戦争の反省と教訓を、今改めて深く胸に刻まねばならない」と述べた。「不戦に対する決然たる誓いを世代を超えて継承する」とも強調した。
「反省」「不戦」の文言を盛り込んだのは、民主党政権だった12年の野田佳彦首相以来、13年ぶり。石破首相は官邸で記者団に経緯を問われ「反省と教訓を改めて胸に刻む必要がある」と指摘した。
首相は6日の広島、9日の長崎での式典あいさつも念頭に置き、自身の見解を作成する考えだ。「今までの首相談話の積み重ねも踏まえ適切に判断する」と語った。