福岡県朝倉市の原鶴温泉で、夜市や朝の筑後川周遊が楽しめる「原鶴湯ったりよかぜ祭り」が開かれている。豪雨や新型コロナ禍で打撃を受けた温泉街のにぎわいを取り戻そうと、県がPRに協力。福岡市中心部に集中するインバウンド(訪日客)を、周辺部に広げる狙いがある。
筑後川沿いの広場はライトアップされ、幻想的な雰囲気が味わえる。8月31日までの期間中、毎週土曜はキッチンカーが並び、地元酒造の試飲会も開く。
原鶴温泉はトロトロした「美肌の湯」で知られる。筑後川に面したロケーションが売りで、夏場は鵜飼い漁を屋形船から楽しめる。だが近年は相次ぎ豪雨に見舞われ、浸水被害が頻発。温泉組合の担当者は「経営者の高齢化にコロナも重なり、旅館や飲食店の休業が相次いでいる」と肩を落とす。
一方、福岡市は訪日客で活況を呈している。県の担当者は「訪日客の周辺部への誘致が課題だ」と語る。
そうした中、観光資源の整った原鶴温泉が浮上。大分県境に近く、福岡市からのルート上に位置する、他の自治体への波及効果も期待される。