「航空史上最悪」の惨事から40年。降り続いた雨で緩んだ足元をつえで確かめながら、慎重に登山道を進んだ。1985年に起きた日航機墜落事故の遺族らは12日、御巣鷹の尾根(群馬県上野村)の墓標に向かい、次々と手を合わせた。「今年も子どもたちを連れてきたよ」。癒えない心の傷と大切な人への思いを胸に、祈りをささげた。
この日は曇り空で、雨もぱらついた。時折風も吹く中、足のケガを抱えながらも娘の墓標を目指す高齢の遺族の姿があった。「あと少し」と励まし合う場面も見られた。
叔父の石倉六郎さんを亡くした茨城県ひたちなか市の会社員磯禎典さん(54)は、長男(25)や次男(17)とともに登った。長男が2歳の時から登山に連れてきたが、遺族も世代交代が進むと実感するという。慰霊登山を継承したいとし「事故を知っている世代も知らない世代も、気持ちは一つ」と語った。
日航の安全体制に苦言を呈した遺族も。2人のいとこを亡くした水戸市の藤原正善さん(65)。妻と初めて慰霊登山に参加した娘2人と墓標に手を合わせた。