道路や田畑に水があふれ、街中の店舗は泥だらけに。崩れた土砂は容赦なく集落に流れ込んだ。11日に記録的大雨に見舞われ、各地で被害が相次いだ熊本県。「不安」「寝られない」。復旧に追われる住民からは疲れた声が漏れた。
避難途中の家族4人が土砂崩れに巻き込まれ、1人が安否不明となった甲佐町の現場では、住宅裏の崖が崩れ、茶色い山肌がむき出しに。地面がぬかるむ中、警察や消防署員ら計数十人が重機も使いながら捜索を続け、不明の家族の可能性がある男性が心肺停止状態で見つかった。
大雨特別警報が出された玉名市では、市内を流れる川から濁った水があふれ、付近の道路や田畑との境が見た目では分からない状態に。ガードレールには、流されてきたごみが絡まっていた。
市内で無線操縦装置の店を営む男性店主は、店から泥水をのける作業に追われた。商品の一部も水に漬かり「いつ営業再開できるか分からない」と途方に暮れた様子。同市の無職女性(74)は「トイレを使った際に下水があふれ出した。ずっと寝られない」と不安そうに語った。