太平洋に面する北海道白老町が、ホッケの陸上養殖事業に取り組んでいる。海洋環境の変化を背景に、スケトウダラやサケの水揚げが激減し、外的要因の影響を受けにくい陸上での事業に着目。焼き魚のイメージが強いホッケだが、陸上養殖だと寄生虫がつかず生食も可能といい、町の担当者は「刺し身、すしなど新しい食べ方を提案したい」と意欲を示す。
同町虎杖浜にある養殖施設。1日、直径2・4メートル、高さ1・2メートルの円柱状の水槽で体長20センチ前後の稚魚200匹超が泳いでいた。餌が投入されると、われ先にと群がり水面に飛び出す魚も。
町によると、2024年6月に稼働を開始。滅菌処理した海水をろ過、循環させている。卵のふ化から手がけることで、海で取った魚を育てる養殖と比べてアニサキスなどによる食中毒の心配がないという。26年度まで3年間の実証実験で人工授精や飼育技術の確立を目指し、事業として成り立つかどうか検証する。