蚊を介して感染するウイルス感染症のデング熱が熱帯地域を中心に猛威を振るう中、日用品大手の花王やユニ・チャームが東南アジアで対策商品の浸透を図っている。独自技術により蚊を殺さず、肌に寄せ付けないようにするのが特徴だ。
デング熱は感染すると頭痛や吐き気などの症状が現れ、重症化し死亡するケースもある。世界保健機関(WHO)に報告された症例数は2000年の約50万件から24年は過去最高の約1400万件となり、世界で年間3億人を超える感染者が出ているとの推計もある。温暖化で蚊の分布が変化したことが要因の一つとされる。
花王は22年、蚊よけ効果のあるクリーム「ビオレガード モスブロックセラム」をタイで発売した。化粧品に使われるシリコーンオイルを肌に塗ると、蚊が止まりにくくなることに着目した。
殺虫剤を手がけるアース製薬と協力し、界面活性剤で蚊の羽をぬらして飛べなくさせる駆除スプレーも展開。現地の学校で感染症の知識を伝える授業を開くなど啓発にも取り組む。