広島は6日、米軍による原爆投下から80年を迎えた。広島市の平和記念公園では原爆死没者慰霊式・平和祈念式(平和記念式典)が営まれ、松井一実市長は平和宣言で「核兵器廃絶を市民社会の総意にしていかなければならない」と訴えた。安全保障を核抑止に依存する世界の流れに危機感が高まっており、若い世代による先駆的な活動に期待を寄せた。
松井氏は、昨年ノーベル平和賞を受賞した日本原水爆被害者団体協議会(被団協)の代表委員を務めた故坪井直さんの口癖だった「ネバーギブアップ」を引用し、被爆者の体験に基づく平和への思いを伝えることが大切だと強調した。
世界で軍備増強が加速し、為政者間で「自衛のため核保有もやむを得ない」とする考え方が強まっていると指摘。国際社会の平和構築の枠組みを揺るがすと批判した。為政者に広島を訪問して被爆の実相を知り、対話を通じた安全保障体制の構築を進めるよう求めた。
日本政府に、来年の核兵器禁止条約第1回再検討会議にオブザーバー参加し、締約国となるよう要請した。