【キーウ共同】ウクライナの汚職捜査専門2機関の権限が法改正により大幅に制限された問題で、最高会議(議会)は31日、2機関の権限を回復させる新法案を可決した。ゼレンスキー大統領が同日、法案に署名し成立した。欧州連合(EU)や欧州主要国が早期成立を支持していた。
2機関は、国家汚職対策局(NABU)と特別汚職対策検察。2014年に親ロシア政権が崩壊した「マイダン革命」後に創設され、EU加盟の条件となる汚職対策を担っていた。権限を制限する法改正の背景には、政権中枢への捜査や、検察など従来の捜査機関との対立が指摘されている。
ゼレンスキー氏が22日に2機関を事実上検察の傘下に置く法改正に署名したことで、抗議デモが各地に拡大。延べ1万人以上が参加した。
事態を重く見たゼレンスキー氏は24日に権限を回復する新法案を議会に提出した。英紙によると、与党の中では、新法案に否定的な議員も多かった。だが、ウクライナメディアによると、31日の採決では、331人が賛成票を投じた。9人は投票しなかった。