大村駅彩り66年、百歳で引退

JR大村駅に飾るため、自宅で花を生ける笹山トヨ子さん=5月、長崎県大村市

 通勤通学客が出入りするJR大村駅(長崎県大村市)の待合所に66年以上、季節の花を飾り続けた女性がいる。市内で華道教室を営む笹山トヨ子さん(100)。生け花を支えに戦争を乗り越え、周りの人々に花の魅力を伝えてきた。百寿を迎えた7月を節目に、駅での生け花は引退を決めたが、教室は続ける。「(華道の)はさみを持ったままバタッと逝きたい」。笑顔で生涯現役を誓う。

 華道を始めたのは戦前の11歳のとき。地元で催された花の展覧会に魅了された。戦中は海軍の仕事で大村海軍病院での工事の事務に追われた。原爆投下後は負傷者が続々と運ばれ「病院の表でね、何人も死んどった」。苦しそうに記憶をたどった。

 心の支えとなったのが、生け花だった。灯火管制で夜に外が真っ暗になる前に、生け花教室に走って通う毎日。「一生を全うするために一生懸命生えている花」に励まされた。

 終戦後は、生け花を広めようと教室を開いた。駅での生け花を始めたのは、教室の生徒に頼まれたのがきっかけ。当時は33歳で、それからはほぼ毎週、駅に通ってきた。

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