海上自衛隊の潜水艦修理契約に絡み、川崎重工業が架空取引で裏金を捻出した問題で、防衛省は30日、川重からのゲーム機などの私的な物品受領を認めた乗員らは計13人(計約140万円相当)だったとする防衛監察本部の特別防衛監察結果を公表した。修理を監督する隊員が長年、造船各社への発注工事の水増しを繰り返していたことも新たに判明した。一方、飲食接待の事実などは特定できず、疑惑の全容解明には至らなかった。
防衛省は30日、指揮監督義務違反で海自トップの斎藤聡海上幕僚長を減給10分の1(1カ月)の懲戒処分とし、隊員92人を内部規定に基づき訓戒や注意の処分とした。物品を受け取った乗員らは自衛隊員倫理法違反の疑いもあるとみて、今後懲戒処分などを検討する。
監察結果によると、川重と取引先企業との架空取引は遅くとも約40年前に始まり、額は2018~23年度だけで計約17億円に上る。一部は裏金としてプールされ、乗員作成の要望リストに基づき、ゲーム機やゴルフバッグなどが提供された。13人が受領を認めた。