原子力損害賠償・廃炉等支援機構は29日、東京都内で記者会見を開き、東京電力福島第1原発の廃炉で最難関とされる溶融核燃料(デブリ)の本格的な取り出しに向け、具体的な工法案の検討結果を発表する。政府、東電は2030年代初頭に3号機で着手することを目指しているが、関係者によると12~15年の準備作業が必要となり、着手は30年代後半以降にずれこむ見通しという。
東電は、3号機原子炉建屋の北側に接する廃棄物処理建屋(地上2階地下1階建て)が、デブリ取り出し機器を支持する構台を設置する妨げになるとして、先に解体する案を機構に提示していた。同建屋は高線量の放射性廃棄物を保管し、解体に多くの費用と時間を要すると見込まれる。
デブリは1~3号機に880トンあると推計される。2号機で昨年11月と今年4月にごく少量を試験的に採取した。政府、東電は使用済み核燃料プールからの燃料移送が既に完了し作業環境を早く整備できる3号機での大規模取り出し工法の検討を先行する。